1980年代。
米国UCSFのリベット教授は、
頭蓋骨を切開した被験者の随意運動野に電極を取り付け、
人差し指を曲げる運動に対する運動準備電位を計測しました。
運動準備電位というのは、運動の準備を無意識に始めるときに
脳から出される信号のことです。
その結果は衝撃的です。
なんと、意識が「動かそう!」と思うよりも前に、
「無意識」のスイッチが入り、
脳内で指を動かすための準備が始められていうことなのです。
つまり、意識は、何一つ決めてもいなければ、判断もしていず、
すべては無意識が行なっていて、意識はその結果をみて、
自分が決めて、自分がやったことだと思い込んでいるだけなのです。
現在出版されている多くの催眠術のテキストなどにも、
催眠術の原理の説明の部分で、意識と無意識の関係の説明が
されています。
その中に登場する「意識」は、常に催眠術者からの被験者の
無意識へのアクセスに対する障害として描かれています。
しかし、このような意識と無意識の構図が生まれたのは、
1800年代後半です。
最近の研究による、意識など重要な役割をほとんど担っていず、
事実上、人間は無意識の塊だとする発見。
この構図を基にした催眠術の新たな説明が為される日が
近いのかもしれません。